PROLOGUE


「傷が深い! 早く下僕達を呼び集めろ!」
「魔力を注ぎ込むんだ! 一瞬たりとも気を抜くな!」
「駄目だっ・・・もっと多くの魔力を、下僕達はまだなのか!!」


「・・・・・・よい、もうよい。お前達、下がれ」


 魔王は仰向けになったまま片手を挙げ、力無く振る。周囲の者達は顔を強張らせるが、注ぎ
込む魔力の手は休めなかった。
 しかし彼らの努力もむなしく、どんなに全力を尽くしても、あふれる血を止める事は出来なか
った。
「もうよい。どのみち助からん」
「魔王であるお方が、何を弱気な」
「たわけ。わしがこのまま諦めると思うたか。わしはすぐに新たな肉体を手に入れる。この身体
が朽ちた後、すぐに人間界に転生する」
 視界がかすみ出した。もうそろそろ限界だ。
「よいな。転生したら全力でわしを見つけ出せ」
 その言葉を最期に、彼は尽きた。








 数時間後、人間界。
 とある総合病院の産婦人科にて、赤ん坊の産声が上がった。